KASHIWA Daisuke「program music II」

program music II

program music II

広島出身のアーティストによる、1年半ぶり7作目。


映画や CM 音楽などを数多く手掛けている人なだけに、オリジナル楽曲の方も所謂イージーリスニング的な側面が少なからず見られます。本人のピアノ独奏を主体とし、曲によってはストリングスやドラムが入るというスタイルで、純粋にメロディや音の響きの美しさを大事にした作り。「crystal valley」の水面に波紋を打つような静けさで幕を開け、「meteor」ではスケールの大きい勇壮なムードがスッと背筋を正す。また「airport」の曲名が示す通りの清々しい開放感、「subaru」の途方のない感傷とダイナミズムなど、もうそのまま映画のハイライトシーンに使えそうなドラマチックな楽曲揃い。ポストクラシカルシーンの中でも特に邦人らしいキャッチーさが打ち出されていて、否応なく惹き込まれてしまう部分は確かにあります。ただやはり優等生過ぎる感は否めないですね。あまりにもストレート、潔癖なため想像の域を超える驚きがないというのも事実。今作ではあくまで生演奏に拘ったという狙いなのかもしれませんが、もっとエレクトロニカ的なアプローチであったり、もう一歩踏み込んだ表現を見たかったかなと。

Rating: 5.7/10



2016/4/23発売 KASHIWA Daisuke - meteor(MUSIC VIDEO) from "program music Ⅱ"