Thee Oh Sees「A Weird Exits」

A Weird Exits

A Weird Exits

カリフォルニア出身の4人組による、1年2ヶ月ぶり11作目。


前作発表後にまたメンバーチェンジが勃発しており、現在はツインドラム編成。リズムの強度が単純に2倍になったというよりは、左右の定位に割り振られた各々のドラミングの絡み合いにより、立体的な奥行きが増したという感触です。「Jammed Entrance」などのインスト曲ではその効果が特に掴みやすい。多角的なリズムが醸し出すグルーヴは通常より少しばかり歪で、熱狂へと向かうアンサンブルをより一層濃密なものにしています。ただ中心人物 John Dwyer の脳内は常に一貫して極彩色。オープナー「Dead Man's Gun」から勢い良くかっ飛ばすサイケデリック・ガレージパンク、そこにはいなたくて牧歌的なメロディのキャッチーさと、同じ量の毒々しく野蛮なエナジーも孕んだ、一筋縄の心地良さでは済まない底なし沼のような中毒性があります。例えば初期のゆらゆら帝国をイメージしてもらえれば分かりやすいはず。あの明朗快活な勢いの裏側に潜む、何とも言えない気持ち悪さをこのバンドも携えているということです。ほぼ毎年のようにリリースを重ねながら、いまだアイディアの尽きることのないロックンロール曼荼羅

Rating: 8.0/10



Thee Oh Sees - Dead Man's Gun - Official Video