syrup16g「darc」

darc

darc

2年3ヶ月ぶりとなる9作目。


「傷」「クランケ」ときて今回は「ダルク」。一応快方に向かってきてると捉えて良いのでしょうか。いずれにせよこうして楽曲を発表することが五十嵐隆にとっての社会的リハビリテーションであり、鬱屈した心の窓を開いて少しばかり空気の入れ替えをする役割を果たしている、のだと思います。今回は8曲37分と随分コンパクトな作りで、どの楽曲も深く練り込む前にさらりと吐き出されたような、シンプルかつラフなオルタナティブロック。歌詞は五十嵐の脳裏に浮かんだ言葉が気ままに放り投げられているような印象で、「Your light goes down 世は LIE と業だ」「So many death 沿う 運命にです」などいつもの遊び感覚も交えつつ、抽象的なセンテンスが結びついてひとつの叙景/叙情となる、その寸前でポロポロと綻んでいく。ここから適当に何かを汲んでくれと言わんばかりの、ぶっきらぼうな投げっ放し。まあそのスタイルは今に始まったことではなく、そういう一方通行のやり取りこそが従来のシロップらしさとも言えるのですけどね。個人的に最もジワリと沁みてきたのは女々しさ全開の「I'll be there」。あまりの変わらなさに安心と不安が綯交ぜの心地。

Rating: 6.3/10



Deathparade - syrup16g(MV)