ANATAKIKOU「3.2.1.O」

3.2.1.O(さん・にー・いち・まる)

3.2.1.O(さん・にー・いち・まる)

2001年結成、現在は松浦正樹のソロユニットによる、約5年ぶり6作目。


アルバム表題は「メンバーが3人から2人、そして1人になったけど OK だ」という意味合いとのことですが、実際の中身は4にも5にも可能性が広がっているような印象を受けます。フォークやボサノバからの影響が強いのか、洒脱な哀愁を醸し出すコード(セブンス?)を全編において多用し、アンニュイでありつつ軽やか、晴れでも雨でもない曇り色の絶妙なニュアンスを湛えた楽曲群。どの曲も ANATAKIKOU ならではの何気なくて遣る瀬ない小粋なメロディセンスがきっちり発揮されており、フックは満載。それでいてアレンジ面ではポストパンク風のエッジィなグルーヴを打ち出した「いついつみてみて」、素朴な中に何処となく滲み出るドリーミーな感覚が面白い「うたになあれ」、「Odelay」期の Beck を彷彿とさせるエレクトロニックな感触も取り入れた「絵に描いたモチーフ」など、バロックポップ/トイポップに通じる柔軟さと奥深さを見せており、かつてのバンド編成よりも自由度が広がっているように思います。このポピュラリティと実験性の軽妙なバランス感覚は、例えばフジファブリックの 1st にも通じる所が多くあるのでは。喉越しさらりで腹によく溜まる一枚。

Rating: 8.3/10



ANATAKIKOU 6th album『3.2.1.O』(さん にー いち まる)トレイラー〜アナタキコウマレーグマの夢想と冒険〜