水曜日のカンパネラ「SUPERMAN」

1年3ヶ月ぶりとなる6作目。


昨年の「UMA」でのビート/サウンド志向から再びポップ要素増加への揺り戻し。EDM 、トラップ、フューチャーハウスといった現行クラブミュージックを消化したトラックで引っ張りつつ、脱力ヴォーカルと脱力歌詞で聴き手を煙に巻くといういつもの水カン節、それが今作ではメロディの切なさや煌びやかな装飾も数割増しで、異物的なインパクトよりもポップスとしての受け皿の広さを意識した、ある意味ようやくメジャーらしくなったと言える内容です。とは言っても決して薄味になったわけではなく、ビートのフリーキーな配置やアタック感は今まで通りのキレを保っており、そのため「アラジン」「坂本龍馬」のような柔らかな広がりのある曲にもスリリングな緊張感が加味されてる。門戸の広さと密度を両立しているわけですが、そこでコムアイのコミカルなヘタウマ歌唱はやはり好みの分かれ目となるわけで、個人的にはここまで歌モノに寄るならヴォーカルの魅力も真っ当に進化していてほしいなという気持ちが残る。その辺のズレが水カンの味の決め手ではあるのですが、逆に曲の良さを伝わりづらくする足枷になってる気がしなくもないなと。

Rating: 7.1/10



水曜日のカンパネラ『一休さん』