ドレスコーズ「平凡」
- アーティスト: ドレスコーズ
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2017/03/01
- メディア: CD
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もともと志磨遼平には毛皮のマリーズ時代からロジカルな策士という印象を抱いていましたが、ここまで来るとさすがに拗らせすぎではなかろうか。今作は楽曲だけ聴けば Talking Heads あるいは JAGATARA を想起させるファンク/ジャズ/ラテン/エスノ、すなわちブラックミュージックの範疇にある種々の音楽要素を取り入れた意欲作。鋭いギターカッティングやパーカッション大盛りのアフロビートなど、これまでの彼のキャリアになかった濃密なグルーヴ感溢れる楽曲は非常に刺激的。そんな個性的な音楽性に反して歌詞のテーマはズバリ「平凡」。長髪を切ってスーツを纏い、過去のパンクスタイルをかなぐり捨てて演じた「凡人」。破天荒なカリスマ/ロックスターが求められない現代の音楽シーンにおいてこれが真に異端なアートだという、もうメタ批評のループ地獄。ただ今作、BPM が速い曲が多いせいか素朴にこれまでの発展形、延長線上とも受け取れるし、David Bowie を筆頭とするスターへの憧憬自体は死んでるように見えないのですね。音楽面ではルックスほどに自分を殺し切れておらず、ロックシーンに対する問題提起としてはいささか中途半端な気が。
Rating: 5.7/10