Do Make Say Think「Stubborn Persistent Illusions」

Stubborn Persistent Illusions

Stubborn Persistent Illusions

トロント出身の8人組による、約7年半ぶり7作目。


まず印象的だったのはドラム。オープナー「War on Torpor」では荒れ狂う海原のようにダイナミックなうねりを見せ、その上で拡散するギターやシンセのレイヤーはさながら竜巻のよう。しかし直接的な刺々しさはなく柔和な音作りによって全ての音が馴染み合い、その重層の中からうっすら立ち昇るメロディの凛々しさ、ドラマチックな美しさには意識をグッと掴まれる。続く10分超の長尺曲「Horripilation」では何処となく「Mirrored」時の Battles に通じる土着的でエキゾチックな感触がありつつ、実に叙情的であり理知的、なおかつパワフルな推進力も併せ持ったサウンド。始まりから終わりにかけて音の密度が徐々に増して世界が拓けていく、その途方もないスケール感に思わず陶然としてしまう。そして今作の中核を担うのが「Bound」と「And Boundless」の連作。曇り空に光が差し込む時のような幻惑的なムードを湛え、それは一点を境に、空襲時のサイレンにも似たディストーションの音色によって切り裂かれる。ここでもやはりグルーヴを先導して引っ張るドラムの存在感が際立っています。繊細でありながら野心の目をギラギラと光らせる、充実のポストロック。

Rating: 8.0/10


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