モーモールルギャバン「ヤンキーとKISS」

約2年ぶりとなるフルレンス5作目。


今のモールルはかなりの土俵際に立たされてると思う。サウンド的には最近のシンプル化を引き継ぎ、各パートの音がより生々しくソリッドに際立った、もしかすると彼らの原点よりもさらに贅肉の削ぎ落とされた音作り。もともとプレイヤーとしての技量の高いバンドなだけに、その選択自体は間違ってはいないと思うのですが、肝心の楽曲がどうにも生煮え状態のものが多すぎるように感じます。無闇に前向きだったりコミカルだったり情けなかったり、男の愛嬌と悲哀を詰め込んだモールル流 J-POP 。そのいずれもがかつての楽曲で見られた路線の焼き直し、あるいは水増し。曲毎のテーマもイマイチぼやけて見えづらく、綺麗に粒の立っていた「野口、久津川で爆死」の頃を思うと随分と枯れてきてしまったな…という寂しい思いが残る。今更言うのもアレですが、モールルはメジャーに行ってからどうも力の入れ方を間違え続けている気がする。何かとちょけてみたり驚かそうとしたりといったキャッチーな方面に特化しすぎて、芯の部分がそこに追いついていないように思うのですね。今作はその辺の違和感がハッキリ表に出てしまったなという印象でした。

Rating: 4.7/10



モーモールルギャバン "ガラスの三十代" (Official Music Video)