松永天馬 「松永天馬」

松永天馬 (通常盤)

松永天馬 (通常盤)

アーバンギャルドのヴォーカリストによる初のソロ作。


「いま、もっとも気持ち悪い男」を標榜する松永天馬。なるほど狂気的だったり過激な思想の持ち主なら他にも沢山いるだろうけど、気持ち悪いとなると彼の右に出る人間はそうそういないかもしれません。遡ること6、7年前、自分が初めてアーバンギャルドのライブを見た時から彼はすでに気持ち悪かった。それから彼は自分の個性を一切曲げることなく、むしろ病状を悪化させながら今回のデビュー作を完成させています。詩のボクシングにおける数度の優勝経験が存分に活かされたであろう、彼の内にある愛憎、リビドーが不穏なトラックの中で迸ったポエトリーリーディング「キスマーク/唇」「ハートマーク/心臓」。メロディやコードワークの洒脱さ、ファンキーなリズムとギトギトに濃厚な歌詞の対比が岡村靖幸を連想させる「Blood, Semen, and Death.」「ラブハラスメント」。そしてハイポジ「身体と歌だけの関係」カヴァーは原曲のミステリアスなムードが4つ打ちの導入によってより一層背徳的、かつ刹那的な情熱へと転化されており、綺麗に彼の世界観の1ピースとなっています。身も蓋もないほどに生々しく痛々しい天馬ワールド7曲26分。

Rating: 7.8/10



松永天馬 - ラブハラスメント TEMMA MATSUNAGA - LOVE HARASSMENT