MARIA 「Pieces」

PIECES

PIECES

SIMI LAB 所属のラッパーによる、4年ぶりソロ2作目。


まずオープナー「A.W.A.R.E」に驚かされる。ピースフルな浮遊感の中で「哀れな私を厳しく叱ってほしい」と歌うその表情は決して哀れなどではなく、むしろ心の壁を取り払った穏やかさすら感じさせるもので、普段の気丈な姉御キャラを予想しているとギャップで瞬殺される。しかしその直後「Tired」では一転して不敵なボースティングをお見舞いされ、「Lovely Day」では80年代フレイヴァーの強いトラックに乗せてストレートなラブソングを綴り、「Bye & Thx」では自身の半生を振り返りながら時の流れに思いを馳せる、といった風にアルバムの中で彼女はパブリックイメージに囚われず様々な側面を見せています。内面を深く掘り下げながら外部へも強いアピールを見せる、現時点での自分自身を100%詰め込むという意味では今年リリースされたちゃんみなのデビュー作もそうだったし、フィメールのみならず遍く全てのラッパーにとって避けては通れない手法だと思います。ただその中で MARIA ならではの個性はとなると、ポップにもアングラにも振り切れておらず、スキル的にも少々パンチが弱い気はする。SIMI LAB 周辺のアクが強すぎるからか。

Rating: 6.9/10



MARIA from SIMI LAB - SPASA (Dir Havit Art Studio)