Fever Ray 「Plunge」

Plunge [Explicit]

Plunge [Explicit]

Karin Dreijer (The Knife) によるソロユニットの8年9ヶ月ぶり2作目。


The Knife としての最終作「Shaking the Habitual」におけるモードが未だに継続しているのか、硬質でアップリフティングなビートや朗々としたメロディが強調されており、ダーク・アンビエント的な印象の強かった前作「Fever Ray」とは対照的な内容となっています。オープナー「Wanna Sip」から空襲のようなシンセサウンドが何とも鮮烈。陰鬱なムードは根底の部分で継続しながらも、よりキッチュでカラフルに、主張の強くなったサウンドで彼女の現在の方向性を高らかに宣言しています。そして歌詞も重要。先述の「Wanna Sip」であったり、特に聴き手を駆り立てるような性急さの「IDK About You」や先行ナンバー「To the Moon and Back」などにおいても、感情をそのまま曝け出した愛情の希求、もしくはシンプルに性的な欲求と言っても良いかもしれませんが、ともかく随分と衝動的な表現が目立つのですね。それが奇矯なシンセポップと折り重なるものだから、自分としてはまるで80年代の戸川純が現在進行形のサウンドプロダクションでもって洗練されたように見え、懐かしさと新しさの混在した複雑な気持ちを抱かずにはいられない。色んな意味で魔性の作品。

Rating: 8.0/10



Fever Ray - To The Moon And Back (Official Video)