KOJOE 「here」

ヒア

ヒア

新潟出身のラッパーによる、単独名義では4年8ヶ月ぶり3作目。


自分が最初に彼のラップを聴いたのは、今作にもゲスト参加している 5lack の楽曲「Feelin29」への客演でした。そこでの内なる想いを呟きのように力無く、しかしながら情感豊かに綴るスタイルは当然このオリジナル作にも引き継がれています。冒頭「KING SONG」や怒涛のマイクリレーを展開する「Prodigy」ではアグレッシブな姿勢も見せてはいますが、印象的なのはむしろ中盤から後半にかけてのセンチメンタルな楽曲群。ジャジーな意匠によるスタイリッシュなトラックの上で、「to my unborn child」では恋人へのメッセージを明け透けなまでに吐露し、「3rd "I"」や「Day n Nite」などではソウルフルで繊細な歌唱も披露するなど、彼の持ち得る技量が最もさりげなく美しい形で駆使されています。彼の辿ってきた軌跡が反映されたであろう、何ともビタースウィートな味わい。ただ個人的には、流暢ではあるもののこれといった明確なフックが足りないかというのと、18曲70分という大ボリュームの中で数多いラッパーの客演はここぞという山場を分散させてしまっているように思う。もう少しタイトに絞った方が全体の流れや狙いもより明確になった気がします。

Rating: 6.5/10



Kojoe - BoSS RuN DeM Feat. AKANE, Awich