AL 「NOW PLAYING」

NOW PLAYING

NOW PLAYING

小山田壮平長澤知之を中心とする4人組の、1年9ヶ月ぶり2作目。


随分と肩の荷が下りたような、軽やかになった印象を受けます。前作「心の中の色紙」においても、andymori の頃のナイーブさや切迫感は後退し、純粋に朗々としたメロディ、ソングライティングを楽しんでいるという雰囲気はありました。ただ前作ではミドルテンポのフォーキーな楽曲がメインを占めていたのに対し、今作はアップリフティングなロックンロール曲に比重が置かれ、そのため44分というランニングタイム以上に体感速度は速い。その中には珍しくマイナー調の憂いが棚引く「ドリーマー」や、George Harrison を意識したようなラーガロック「ウォータースライダー」といった新機軸、また小山田壮平が歌うと妙に意味深な「とびましょう」という楽曲まで。そこに在るのは自身のルーツ、おそらくは60~70年代のオールディーズへの憧憬から生まれる、機知に富んだ遊び心。何よりも表題曲「NOW PLAYING」を筆頭に、極めてシンプルなバンド編成によるジャングリーなポップロック、この至って素朴な手法で未だにこれだけの煌めきを生み出しているのは、何だか奇跡的な瞬間を目の当たりにしている気分。ロックバンドの理想形のひとつと言ってしまおう。

Rating: 8.6/10



AL / NOW PLAYING