People In The Box 「Kodomo Rengou」

Kodomo Rengou

Kodomo Rengou

福岡出身の3人組による、3年5ヶ月ぶりフルレンス6作目。


自分の中でピープルというバンドはひどく厄介な存在だという認識がずっとありました。牧歌的なメロディは予測のつかない変拍子やテクスチャーで大きく捻じ曲げられ、難解な歌詞からは明確なメッセージや情景などをなかなか汲み取れず、まるで聴き手が安易にカタルシスへ向かうことを徹底的に拒絶しているかのよう。思いつくのはオルタナティブプログレ、ポストロックといった単語なのですが、いずれのジャンルに当てはめても彼らの音楽は何処かしらが必ずはみ出てしまう。その奇怪な異物感が、この新作ではもしかすると彼らのキャリア内でピーク値を示す勢いで、とことんまで煮詰められています。ゆらりと空間的な広がりを見せながらアクロバティックな展開を見せる、素朴さと前衛性が強引なまでに組み込まれた楽曲群。中には King Crimson のような変態的アグレッションを見せる「無限会社」、軽やかなピアノリフが何とも鮮烈に映る「世界陸上」、そして今作中最もパワフルな躍動に満ちた「かみさま」といったアクセントもあり、総じて12曲、本当に変な曲しかない。この複雑なパズルが発する異様な空気、その磁場の強さといったら。

Rating: 8.5/10



People In The Box「かみさま」Music Video