BUCK-TICK 「No.0」

1年半ぶりとなる21作目。


デビュー30周年を超えてなお攻めモードの御大。前作「アトム 未来派 No.9」の時も結構なものでしたが、今作はそこに輪をかけてのエレクトロノイズてんこ盛りです。ほぼ全編において不協和音ノイズが隙間という隙間を埋め尽くす勢いで放出され、中心のポップなメロディを盛大に汚し、過剰とも言えるほどの密度で聴き手に強烈なインパクトを与える。その手法はかつての「Six/Nine」あるいは「COSMOS」など90年代の作品群を彷彿とさせるものですが、今作におけるアンサンブルの骨格の太さや、櫻井敦司のシアトリカルなヴォーカルが見せる円熟味は長いキャリアを経たからこそのものだろうし、現在の B-T でなければ成し得ないであろう極めて刺激的なインダストリアル・ゴシック・グラムロックの応酬となっています。また特濃のサウンドは特濃の歌詞にしっかりリンクするもので、愛と死とリビドーがドロドロと渦巻く B-T ならではの世界観は毒々しいノイズによってより一層説得力を増し、なおかつ「GUSTAVE」や「IGNITER」など頭のネジがまたひとつすっ飛んだ言語センスには眩暈を起こしそうになる。胎内に始まり胎内に終わる B-T 流一大内的宇宙。

Rating: 8.2/10



BUCK-TICK / ニューアルバム『No.0』試聴トレーラー