Cavern of Anti-Matter 「Hormone Lemonade」

Hormone Lemonade

Hormone Lemonade

Tim Gane(Stereolab)を中心とする3人組の、約2年ぶり3作目。


のっけの「Malfunction」からいきなりの16分。「故障」といった曲名とは裏腹の精緻さで、簡素なリズムループとスペーシーなシンセ類の重層は何処となくノスタルジックな感触を残しつつ、気ままな宇宙旅行のような心地良い浮遊感とオプティミスティックな軽快さ、そこに中毒性のある恍惚を滲ませる、それはある種クラウトロックの醍醐味とも言えるもの。前作ではゲストヴォーカルを招いたりといった楽曲の多彩さを意識した面がありましたが、今作ではむしろその逆で、コアメンバー3人のみによる実験的なセッションをストイックに突き詰め、ますます濃密さを増しているように見えます。ただ長尺のインストゥルメンタルが多いという点では敷居は高いですが、 Stereolab 時代から地続きのさらりとしたラウンジテイスト、洒脱なポップセンスがどの曲でも発揮されているため、堅苦しさはさほど感じない。むしろ70年代風のチープな音作りも相まって、実験的ではありつつも牧歌的でファニーな印象があり、その演奏の深みに引き込まれそうになりながら少しばかり微笑ましく愉快な気分になってくる。熟練者たちによる自由奔放な音の遊びという感じ。

Rating: 7.1/10



Cavern Of Anti-Matter - Phase Modulation Shuffle