Sleep 「The Sciences」

The Sciences

The Sciences

カリフォルニア出身の3人組による、19年ぶり4作目。


今年の頭に行われた Sleep 初の来日公演、凄かったですね。オーディエンスの鼓膜を潰す気満々のアンプの要塞を背にして、酩酊とも恍惚ともつかない仙人のような佇まいでルーズな爆音を垂れ流す、その極悪かつ極上の気持ち良さといったら、やはり彼らは現場の音響を体験してこそのバンドなのだなと痛感させられました。そして突然リリースされた今回の新譜、Marijuanaut なる造語を錬成していて曲名から笑わせてくれる。宇宙飛行士ならぬ大麻飛行士といったところか、彼らが鳴らす音のトリップ作用は聖なる山やエルサレムを越えて大気圏を突破するほどに効力を増しているということです。6曲53分と長尺曲のオンパレードではありますが、反復の心地良さを保ちながら絶妙のタイミングでギアチェンジを入れる曲構成の巧みさ、スリーピースならではのシンプルかつダイナミックな演奏の旨味、またアンビエント的な浮遊感を醸し出す静パートのアクセントなどもあり、「Dopesmoker」の洗礼を受けた身にしてみればもはやコマーシャルな印象すらあるほど、予想以上に入り込みやすい。オールドスクールの手法に拘りながら革新を見せる、男気の濃縮された一発です。

Rating: 8.5/10