V.A. 「アダムとイヴの林檎」

アダムとイヴの林檎

アダムとイヴの林檎

初となる椎名林檎のトリビュートアルバム。


今回の参加メンツの選定について椎名林檎本人が何処まで関わっているのかは分かりませんが、宇多田ヒカル草野マサムネなど旧知の仲も参加していることから、関与度は決して少なくはないと思われます。椎名林檎は初期こそエキセントリックかつエモーショナルな作風が目立っていましたが、そもそもは自己の内面を切り取るタイプではなくプロフェッショナルな職業作家を目指していたというのは、過去のインタビューにおいても発言していました。今回の参加メンツにはそういった林檎の志向が明確に表れているのではないかと思います。バンドらしいバンドは即席の theウラシマ'S のみ。それ以外はヴォーカリストとして確かな技量を持ち、なおかつ自己プロデュース力に長け、エンターテイナーとしての素質を兼ね備えた、「プロ」として一流のミュージシャンがずらり。程良く刺激的でありつつポップスとしての上質さを第一に置いたこの内容は、ある意味で林檎の本質を的確に表現したものではないかなと。ソツなく安定感のあるカヴァーが多い中、個人的に一番耳を引いたのはミュージカルのクライマックスの様相を呈した松たか子「ありきたりな女」。

Rating: 6.8/10



theウラシマ’S - 正しい街 (椎名林檎トリビュート・アルバム『アダムとイヴの林檎』より)