Let's Eat Grandma 「I'm All Ears」
聴いていて新鮮さと同時にひどく懐かしさを感じる。全編エレクトロニクスを中心に構成され、ドリーミーな浮遊感を醸し出したかと思いきやエッジの効いたリズムトラックが挿入されたり、ヴォーカルにはあどけない幼さの中に何処か蠱惑的、挑発的な雰囲気も見られたりと、相反する質感が複雑に絡み合ったシンセポップサウンド。前半に固められたシングル曲はいずれも可愛らしいメロディとスペーシーなサウンドが互いを引き立てるように重ねられており、特に「Hot Pink」はそのアヴァンギャルドな曲構成すらもポップに聴かせてしまう強烈な一曲。そして後半の「Cool & Collected」や「Donnie Darko」といった長尺曲ではプログレッシブなアートポップとしての力量が存分に発揮され、夢見心地かつダークな音の深みの中に吸い込まれそうな心地になる。その陰影に富んだ音の端々からはゴスに通じるロマンチックな耽美意識が感じられ、個人的には「Disintegration」時の The Cure 、あるいは Strawberry Switchblade などを連想しました。時代と共にゴスカルチャーも様々な変遷を経て、2018年時点での最新型はこのユニットということなのかもしれません。
Rating: 7.7/10
