小松未可子 「Personal Terminal」

三重出身の声優シンガーによる、1年2ヶ月ぶり4作目。


前作「Blooming Maps」に続いて Q-MHz が全面バックアップ。相変わらず情報量の多いアレンジでエネルギッシュな勢いを感じる楽曲が多いのですが、作品を重ねることでより勝手の知れたコンビネーションとなったようで、前作よりもさらに自由度の広がった内容となっています。4曲目の時点ですでに大団円の様相すら呈する絢爛なワルツ調の「Maybe the next waltz」、ボサノヴァテイストの爽やかなシティポップ「海辺で逢いましょう」、いかにもライブ映えしそうなスカパンクナンバー「Happy taleはランチの後で」など、これだけ振り幅が広ければまるっきり散漫になってしまいそうなものですが、山あり谷ありの刺激がありつつも不思議と違和感なくスルスルと聴けるのは、おそらくみかこし本人のシンガーとしての個性がすっかり固まっているからでしょう。溌剌とした明るさと透明感、そして繊細なしなやかさを兼ね備え、過剰に演劇的にならず素直にメロディの情感を伝えようとするヴォーカル。多彩な楽曲に引っ張られるのではなく、その多彩さの上でこそ彼女の魅力のタフさが発揮されるという。チームワークの良好さによりすでに安定感を感じさせる好盤です。

Rating: 7.8/10



小松未可子「SPICE MISSION」full ver. from New Album "Personal Terminal"