Deafheaven 「Ordinary Corrupt Human Love」

ORDINARY CORRUPT HUMAN

ORDINARY CORRUPT HUMAN

サンフランシスコ出身の5人組による、2年9ヶ月ぶり4作目。


これまでにもブラックメタルを基盤としつつ、シューゲイザーやポストロックを取り入れて旧来の様式に囚われない実験的な音作りを模索していた彼ら。その探求心は今作でも活かされています。まずオープナー「You Without End」で見せる叙情的なピアノとスライドギターの音色、刺々しさよりも暖かみを第一に感じるアンサンブル。この時点で彼らがまた新たな境地へ入ったことは十分にアピールされています。George Clarke の狂気的な絶叫であったり、演奏面でも要所要所でヘヴィな刻みやブラストビートといったブラックメタル要素は残されてはいるものの、全体から受ける印象としてはもはやブラックメタルから逸脱し、Drive Like Jehu や Sunny Day Real Estate といった90年代エモ、オルタナティブ、ポストハードコアを思わせるものに。そこにあるのは絶望的な悲愴感ではなく、陽の光を感じさせるポジティブで開放的なムードや、淡くノスタルジックな哀愁の美しさ。また「Near」では純粋なシューゲイザーの幻想的な浮遊感、Chelsea Wolfe 参加の「Night People」では賛美歌のような聖性まで加わり、壮大なスケール感の中でより豊かな情感を表現した野心作です。

Rating: 8.6/10



Deafheaven - "Honeycomb"