FUJI ROCK FESTIVAL '18 1日目

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行ってきました。会場を苗場に移してから20周年を迎えたフジロック。自分はこれで11回目の参加です。色々見て色々思ったのでそれを書きます。今年も。


neco眠る @ RED MARQUEE

7、8年ぶりに見る大阪の隠れた至宝。中心人物の森雄大は見覚えのあるスタインバーガーを構え、ステージ中央でテンション高く踊りながら祭囃子ディスコグルーヴを次から次に捻り出し、「ENGAWA DE DANCEHALL」「すごく安い肉」などのキラーチューンが音源よりもガッチリとビルドアップされていたように感じます。いきなり昔話で恐縮ですが前回見たその7、8年前の会場というのが大阪南港の STUDIO PARTITA で、とある友達に誘われて行ったらその子と一緒に来てた別の友達の女の子とすぐさま意気投合して、その後すぐ付き合うことになったはいいけどそれから色々あり過ぎて喧嘩が絶えず、次第に精神的にボロボロになっていったという淡く苦い思い出があったりしまして、演奏してる間ずっとそれを思い出しながら一人で勝手に感極まってた。音楽が思い出や季節と結びついて特別な意味を持つということ、皆さんにもありますよね。


GLIM SPANKY @ GREEN STAGE

今年 LUNATIC FEST. に出演したことで V の者の間でも認知度急上昇中の長野の2人組。60~70年代頃のサイケ/ガレージロックのリバイバルというザックリした知識だけ持ち合わせていたのですが、一番印象的だったのはフロントを張る松尾レミの堂々たる立ち振る舞い。決して大袈裟なアクションなどをしているわけではないのですが、想像よりもハスキーな渋味を持ち合わせたヴォーカルがロックンロールならではの野性味と色気を同時に醸し出し、そこには初のグリーンという大舞台でもまるで物怖じしていなさそうな凛々しさを第一に感じました。またメロディには J-POP としての馴染みやすさも加味して大文字のロック感バリバリ。衣装や機材なども含めて、今の日本のメインストリームで古き良きオーセンティックなロックを取り入れるならこのスタイルがベストだという確信があるのでしょう。彼らの実直さが良く表れたステージでした。


LET'S EAT GRANDMA @ RED MARQUEE

イギリスの女子2人組。ライブではドラマーを加えたトリオ編成でしたが、楽曲の元々の印象がそこまで大きく変わることはなく、音源のストレートな再現に音圧をプラスという感じ。曲中に突然アルプス一万尺のような振り付けを始めたり、曲開始前にステージに仰向けに寝転んだりといった奇妙な挙動もちらほらあり、おそらく彼女らの中で何かしらの世界観、コンセプトがある上での演出なのでしょうね。自分には正直その辺が汲み取れなくて頭に?が浮かびっぱなしだったし、どうも実験的なアート面よりもインディアイドルとしての側面が前に出過ぎてる気がして、ちょっとハマりきれなかった。まあでも Kawaii は正義なのでいいか。


RANCHO APARTE @ Café de Paris

コロンビアの7人組。フジには毎年2~3組は必ずいるワールドミュージック系ですね。多少はロック的だったりエレクトリックな要素も混じってるのかと思ったら全くで、アフロビートのチンドン屋というかラテンパーティー会場の箱バンというか、ともかく土着的でド明るい異国情緒溢れる音楽性。自分は後ろの方で酒飲みながらへたり込んで見てましたが、まあ心地良いこと。あと現地の母国語だと思うのですが「ぴよぴよぴよバー!」って連呼してる曲があってゲラゲラ笑いながら真似してた。ひよこになって皆から愛されたい。


TUNE-YARDS @ RED MARQUEE

カリフォルニアの男女デュオ。自分は2011年の「w h o k i l l」以来チェックがご無沙汰になっていたのですが、久しぶりに彼女らの自由奔放な音楽性を真っ向から浴びせられて興奮しっぱなしでした。中心人物 Merrill Garbus が(おそらく即興で)シンセ音や自身の声などを巧みにループさせ、実験的でありながら何処かシュールでファニーな雰囲気を纏いつつ、そこにサポートドラマーによるパワフルなリズムが加わり、Merrill の声から発せられる陽性のパワーが強烈なダンスグルーヴに変換される、その豪胆とも言える勢いに終始圧倒されてしまいました。音源でもリズムの躍動感というのは彼女らの音楽において主要な位置を占めていましたが、それがライブではますます無軌道に、ボトムの太さと鋭さを増し、なおかつ Merrill の親しみやすいキャラクターと合わさることでストレンジなポップさを生み出すという。初見の人間もガツガツにアゲてくるアグレッシブなステージングは見応え抜群でした。ほとんどが今年の新譜からの選曲とのことなので聴き直さねば。


MAC DEMARCO @ RED MARQUEE

この日一番の問題児。一応事前に音源をチェックしていて、その時は単純にほんわかしたフォークポップだなという程度だったのですが、彼の真価はライブを見なければ分かりませんでしたね。以下この1時間における彼の行い。

  • 何故か STAR WARS のテーマに乗せて仰々しく登場
  • ステージ端にテーブルと椅子を用意して友人達(水原希子含む)を招き入れる
  • スクリーンには曲と全く関係ない MOTHER2 のプレイ動画
  • ギターとベース全員のストラップがハードオフ
  • ハードオフ店内 BGM をカヴァーしながら友達一人を呼び出して「チカラー!!!」と叫び合い勝負
  • マイクチェック「お前はもう死んでいる」
  • 意味もなく倒立
  • 上を向いて歩こう」カヴァー中に Post Malone 手拍子で乱入

この他にも何かとあればステージ上でちょけまくっていた。芸人かこの人?本当に最後まで自由気ままにやりたい放題やってて、こんなキャラクターだと思わなかったもんでずっとゲラゲラ笑ってた。そんなフリーダムさが曲のユルい雰囲気をさらにユルく弛緩させ、まるで彼のホームパーティーにお邪魔してるかのような和やかさ、人を選ばない気さくさですっかりいい気分になっていたのでした。


というわけで初日は以上です。この日のベストは TUNE-YARDS …と言いたいけど MAC DEMARCO か。neco眠るでもいいけど。