筋肉少女帯 「ザ・シサ」

1年ぶりとなる19作目。


今年でメジャーデビュー30周年を迎えた筋少の新作は、自らの持ち味になお磨きをかけて地盤を固めつつ、あくまでも前を向いた姿勢をアピールする内容となっています。X JAPAN「PROLOGUE (〜WORLD ANTHEM)」を思わせる絢爛なセッション「セレブレーション」に始まり、ポップとファンキー曲担当の本城聡章、メタルとバラード担当の橘高文彦、その合間を縫って変な曲を挿入する内田雄一郎と、綺麗に役割分担されたコンポーザー三人が交互に個性を発揮し、それらを大槻ケンヂの歌詞が強引に纏め上げて筋少の判を押すという、長い時間の中ですっかり確立された安定のスタイル。相変わらず手数大盛りの演奏や、ゾンビやイタコなどのモチーフを改めて引っ張り出すなど、音的にも歌詞的にも筋少を構成する諸要素が再提示されている、という意味では総集編的な作品と言えるかもしれません。しかし30周年のキャリアを振り返っての思いであったり、全ては見方次第で変わるというアルバムテーマにしても、今現在のオーケンの中で強まっている考えを前面に打ち出しているためか、良い意味で落ち着きのない印象の方が強い。ここから何処まで転がっていくやら。

Rating: 7.2/10



筋肉少女帯「オカルト」MV