Muse 「Simulation Theory」

約3年半ぶりとなる8作目。


前作「Drones」の着想が「フルメタルジャケット」だとしたら、今回は「トロン」でしょうか。我々が生きる現実世界は強大なコンピューターに制御されたひとつのシミュレーションであり(な、なんだってー!?)、予めプログラムされた運命を断ち切って自由を勝ち取る、というのが今作のコンセプトなのだと思います。外連味の強いドラマチックな曲展開、無闇やたらに大仰な世界観という点ではいつもながらのミューズですが、今回その SF 世界観に合わせてかいつもに増してシンセの比重が大きくなり、以前の作品と比べるとギターとの配分がほとんど逆転してしまってるのではというほど。「The Dark Side」なんかは本当に「トロン」を意識してるのか Daft Punk 色を強く感じるし、その他にもヒップホップや R&B ポップが席巻している昨今のヒットチャートに対応し得る、コシのあるファンキーなダンスグルーヴが活かされた楽曲が多数。まあ彼らのオーバーグラウンド志向は今に始まったことではないし、これほど思いきりポップに向かっても Matthew 王子のアクの強さはまるで薄まってない、むしろなお意気揚々としているのだから微笑ましいですよね。

Rating: 6.8/10



MUSE - The Dark Side [Official Music Video]