Mono 「Nowhere Now Here」

Nowhere Now Here

Nowhere Now Here

1999年結成の4人組による、2年3ヶ月ぶり10作目。


結成以来初のメンバーチェンジとなったドラマーの脱退、それだけでなくマネジメント関係でもトラブルに見舞われ、一時は解散寸前のところまで追い詰められていたという彼ら。そういった制作時の状況が反映されてか、今作はいつも以上に色味が少なく、ギターの轟音の険しさが強調されているように思います。例えば「Hymn to the Immortal Wind」や「For My Parents」辺りの過去作では、オーケストレーションを大々的に取り入れてドラマチックな悲愴感を展開し、そこにはヘヴィなエモーションの発露がありつつも、弦楽器ならではの柔らかな美しさが全体をヴェールのように覆っていました。今作でも弦楽隊は多数参加してはいるのですが、それらがここで見せているのは悲しみや憂いといったナイーブな心情よりも、もっと反骨精神に満ちた、闘志にも似た怒り。彼らの作品ではお馴染み Steve Albini ならではの生々しさを第一義としたプロダクションに加え、新ドラマー Dahm の一打一打を硬くシャープに鳴らすプレイも、そういった攻撃的な印象に拍車を掛けているかもしれません。典型的ポストロックという構成自体は相変わらずですが、その凄味は新たなピーク値。

Rating: 6.4/10



MONO - Breathe (Official Music Video)