THE NOVEMBERS 「ANGELS」

ANGELS

ANGELS

2005年結成の4人組による、約2年半ぶり7作目。


今作の音楽性は彼らがこれまでに歩んできた道程の延長線上にありますが、それでいてここでの彼らは楽曲の作りを根本から変化させています。ヴォーカルには過剰なほどにエコー/リバーブ処理が施され、とにかく中音域のふくよかな厚みを重視した音作り。クラウトロックからネオサイケデリア、シューゲイザー、そしてポストロック以降と様々な時代の音響実験を踏まえた音像は、全てのパートがマーブル模様を描いて融解し、巨大なブラックホールと化したような壮絶さ。またシンセ類がバンド演奏ありきの装飾ではなく曲の骨格自体に密接に組み込まれており、様々なテクスチャーを重ねては切り替えていくテクノ的な構築性の「TOKYO」、彼らなりのトラップグルーヴの解釈とも捉えられる「BAD DREAM」など、エレクトロポップ隆盛の現代にロックバンドはどう在るべきかというひとつの回答をここに示しています。なおかつ Mick Karn 風の妖艶なベースラインが印象的な「plastic」、初期 Black Sabbath が憑依した禍々しさの「Zoning」、さらには Suicide のアートパンクとしての側面を強調した「Ghost Rider」カヴァーなど、受けた影響全部盛りな9曲。

Rating: 9.1/10



▲THE NOVEMBERS「BAD DREAM」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)▲