Karen O & Danger Mouse 「Lux Prima」

Lux Prima

Lux Prima

Yeah Yeah Yeahs のヴォーカリストによる、初のコラボレーション作。


Danger Mouse というと個人的にはエレクトロニック方面のプロデューサーという印象が強かったので、この両者のコラボでこんなアルバムが生まれるのかという驚きが。管弦楽器やバンドアンサンブルなど、あくまで生音を基調とした音像にはレトロスペクティブな奥ゆかしさがあり、自然な音響処理もエレクトロニカ由来と言うよりはホール会場の鳴りを忠実に再現したかのよう。ジャズ風味の渋味やラウンジポップの洒脱なムード、そこには同時に宇宙的とも言える深遠な広がりも生まれ、実験性とオールディーズの融合を果たした楽曲は例えば Stereolab にも通じるものがある。その中で歌う Karen はバンドとは全く違う装いに着替え、しゃなりしゃなりと洗練された歌声を聴かせてくれます。中でも9分超の表題曲「Lux Prima」などはその深みの最たるものだし、比較的ビートが強く効いた「Woman」や「Redeemer」にしても、ロック的な躍動感以上に曲が持つ蠱惑的なムードの方が強調されている感があり、その濃密さに聴いているだけで酔いそうになる。Karen が持つ多面的な魅力の一部をさらに引き伸ばした好盤です。

Rating: 7.7/10



Karen O & Danger Mouse - TURN THE LIGHT