メリー 「for Japanese sheeple」

for Japanese sheeple(通常盤)(特典なし)

for Japanese sheeple(通常盤)(特典なし)

約1年半ぶりのリリースとなる、初のミニアルバム。


sheeple とは sheep と people の合成語、つまり羊のごとく自分の意見なしに大多数へと群がる人間のことを指すのだと。そんな辛辣な表題を掲げているからか、今作ではメリーが結成時からずっと持ち合わせている魅力が、いつにも増して悲壮感を帯びた形で、ミニアルバムの尺の中にグッと濃縮されたような印象を受けます。閉塞感に満ちた心象が綴られた「Toxicosis Island」や「最後の晩餐」、そしていかにも彼ららしい未練全開の失恋曲「Kamome Kamome」など、忙しないパンキッシュな演奏に昭和歌謡風メロディの哀愁が絡む、彼ら言うところのハード GS ナンバーの応酬。バンド表記を久々にカタカナに戻したのには原点回帰的な意味合いがあるのかもしれませんが、曲自体は確かに従来のメリーらしさを保ちつつ、骨格は強くビルドアップされて前のめりの瞬発力がある、あくまでも今現在のメリー像という風に見えます。何にせよ前向きな曲は当然のように全くないのですけど、彼らの場合はヘヴィやダークと言うよりも、やはり「湿っぽい」という表現が一番似合う。ガラの掠れ声が嗚咽のような悲痛さを持って聴こえるのも相変わらずだし。まだまだ健在の味。

Rating: 7.4/10



メリー - 「Toxicosis Island」MUSIC VIDEO