MORRIE 「光る曠野」

光る曠野

光る曠野

DEAD END のヴォーカリストによる、約4年半ぶりソロ5作目。


ヴァイオリンやサックスを多く導入して幻惑的な世界観をより色濃いものとしていた前作「HARD CORE REVERIE」と比較すると、今作は純粋なバンドアンサンブルによるダイナミズムが強調されて、ソリッドに引き締まったぶんシンプルな印象を受けるかもしれません。「Danger Game」などは特にストレートかつ豪胆な HR/HM 曲だし、「Angelic Night」や「幽明鏡」のような疾走曲にしても、DEAD END として演ってても何ら違和感のない V-ROCK 的ポップネスが際立って響く。ただそのシンプルというのは全体像の話であって、細部に目を凝らすとやはり一筋縄ではいかない展開が目白押し。クリーントーンの棚引く妖艶さから獣性を露わにするディストーションへ、一曲の中で色味を大胆に転じていく構成は十分にプログレッシブなものではあるのですが、それを難解にばかり感じさせず、至って流麗に、なおかつスリリングに聴かせてしまう手腕は流石の御大といったところ。そして黒木真司 (Z.O.A) の本領発揮と言える壮絶なギタープレイが光る「神髄」や、Boris 全面参加でメロディの憂いが一層濃密になった「Into My Eyes」と、長尺ならではの深遠な魅力もやはり健在。

Rating: 8.1/10