D'ERLANGER 「roneve」

2年ぶりとなる9作目。


これまで以上にソリッドに、タイトに研ぎ澄まされているような印象を受けます。要所要所ではギターに飛び道具的なエフェクターを噛ませたりシンセの装飾が入ったり、あとドラムは相変わらずアッパーな曲でもメロウな曲でも一貫してやかましさ全開ですが(笑)、基本となるアンサンブルはますます贅肉を削いできてる。特にギターとベースはもはや音を太くするということに全く無頓着、むしろ敢えて逆行しているかのようなシンプルさ。しかしその飾り気の無さ故に、ドラムの一打一打、弦を弾く一音一音のニュアンスが生々しく伝わり、各プレイヤーが持つテクニックと表現力、本質的な技量の高さがくっきりと浮き彫りになっています。特に曲構造までシンプル極まりない「SEX」では現場のひりつくような緊張感がリアルに表れていたり、コード進行のみで曲の持つ色味やスケール感をガラリと変えていく「die fast and Quiet…」などにしても、一切ギミックに頼らない基礎体力の高さが淫靡でシアトリカルな歌詞世界をきっちりと説得力あるものに仕立て上げてる。ロックバンドというものが本来持ち得る醍醐味を十分に味わえる、骨太な一枚です。

Rating: 8.1/10