首振りDolls 「アリス」

アリス

アリス

北九州出身の3人組による、約1年ぶり3作目。


聴いていてとても懐かしい気持ちになってしまいました。ガレージパンクやグラム/ハードロックの要素を取り入れたラフで生々しい演奏に、昭和歌謡風のコテコテなメロディが絡むという楽曲。そして衣装はゴシックと和装の折衷でおどろどろしくもセクシーという、言わば60~70年代サブカルチャーのごった煮リバイバル。自分はこの手のバンドをゼロ年代初頭あたりに数多く見た記憶があります。初期ムック、初期メリー、犬神サアカス團、駄菓子菓子…名前を挙げるだけで頭が痛くなってくる。そう、タダでさえゲテモノ扱いされがちなヴィジュアル系界隈の中でも更なる辺境の地、密室系/地下室系です。まあ彼らの場合は刺々しさを保ちつつも比較的ブラッシュアップされた音像や、ワイルドな色気が清春や高野哲を彷彿とさせるヴォーカルなどを聴いても、アングラに留まらずメジャーシーンに打って出るだけの華は感じられます。ただそれにしてもこの、ロックバンドとしての美学が明後日の方向に成長してしまったが故の濃さよ。約20年前に発生した間違いだらけのシーンの遺伝子が継承されたこのバンドを、残念ながら自分は気にかけずにはいられない。

Rating: 6.9/10



「黒い太陽」MV/ 首振りDolls『アリス』