EGO-WRAPPIN' 「Dream Baby Dream」

Dream Baby Dream

Dream Baby Dream

大阪出身の2人組による、約6年ぶり9作目。


エゴラッピンと言えばジャズ、ブルース、昭和歌謡といったレトロなイメージが一番に来る人が多いかと思いますが、実際のところ彼女らはそうした画一的なイメージに全く囚われておらず、むしろここ最近の作品はモダンなロックテイストを取り入れて外向きの力強い姿勢を見せることの方が多くなっていました。そして今作はと言うと、全体的に翳りを帯びたムードが少しばかり原点回帰を思わせなくもないですが、でもやっぱり節操がない。泥臭い異国情緒と理知的なエレクトロニクスが交錯する「Arab no Yuki」、牧歌的でカラッと乾いた感触のフォーク/カントリー「L'amant」、チェンバーポップとポストロックを掛け合わせたような「timeless tree」、果てにはクラウトロック風で何処かコミカルな「human beat」まで。ヴォーカルや演奏の端々にはレイドバックしたブルース感を常に湛えているため、全体には何となく統一感があるように感じますが、よくよく聴いてみると彼女ら本来の気質は「何でもやりたがり」なのだな、ということがよく分かります。洒脱なようでいてヘンテコ。このヘンテコさ加減こそがエゴという味の決め手なのでしょう。

Rating: 7.6/10



EGO-WRAPPIN' 『CAPTURE』