Tempalay 「21世紀より愛をこめて」

21世紀より愛をこめて

21世紀より愛をこめて

2014年結成の3人組による、約2年ぶり3作目。


BTS を始め方々からのフックアップを受け、いよいよブレイクスルーの機運が高まっているところの彼らですが、そこで出してきた新譜がこれまでで最も掴み所がなく、オーバーグラウンドに歩み寄る気などなしに我が道を突き進んでるというのが、まあ急進的なインディバンドとしてはある種正しい姿とも言えるか。ヌルリとサイケデリックな音像にエレクトロニックな質感も加味し、アンニュイなメロディセンスで無理矢理歌モノに纏め上げる、という手法はこれまで通り。今作ではそのサウンドデザインがより歪な方向へと向かい、ますますシュールで実験性の高いものとなっています。リード曲「のめりこめ、震えろ。」や「そなちね」のようにメロウな感覚が前に出た馴染みやすい楽曲もありますが、下手するとそれ以上に存在感を放っているのが中盤以降の怪曲。体温低めな疾走感を纏いつつ面妖な SF 世界観を展開する「人造インゲン」、不穏なベースラインを強調しながら本当に曲名通りのことしか歌ってない「脱衣麻雀」、そしてドリーミーな空気感の裏に退廃的なダークネスを湛えたバロックポップ「おつかれ、平成」。アルバム表題も含めて不可解さは随一。

Rating: 7.3/10



Tempalay "のめりこめ、震えろ。" (Official Music Video)