Full of Hell 「Weeping Choir」

Weeping Choir

Weeping Choir

2009年結成の4人組による、2年ぶり4作目。


前作「Trumpeting Ecstasy」においても共通していたことですが、グラインドコアやデス/ブラックメタルを基盤としつつ、Merzbow や The Body といったノイズ・エクスペリメンタリストとも積極的に共演するなど、エクストリームな音楽要素を貪欲に取り込む強靭な胃袋、その彼ら最大の武器は今作にも活かされています。オープナー「Burning Myrrh」からして獣性迸るブラストナンバーなのですが、ギターはブラックメタル由来の毒々しさを発しつつ、何処かホワイトノイズ的な浮遊感も孕んだテクスチャーで、強烈な刺激とともに不思議と心地良さを感じる。そこから「Rainbow Coil」ではアンサンブルを解体してコラージュ音響実験に走ったり、「Armory of Obsidian Glass」では邪念に満ちたドゥーム/スラッジ地獄へ落ちたり、「Ygramul the Many」ではサックスまで突っ込んでフリージャズ風展開を見せたりと、あちこちを迂回しながら獣道を暴走していくスリルはますます強化されています。これまでの経験を全て消化し、散漫になることなくメタルバンドとしての肉体性で纏め上げる、その剛腕が一層冴え渡った11曲24分。

Rating: 7.9/10



FULL OF HELL - Burning Myrrh (Official Music Video)