キノコホテル 「マリアンヌの奥儀」

マリアンヌの奥儀

マリアンヌの奥儀

2007年結成の4人組による、約3年ぶり7作目。


今回はアイドル界隈の楽曲を主に手掛ける島崎貴光氏を共同プロデューサーに迎え、「踊れるキノコホテル」をテーマに制作したとのこと。とは言っても今更になってキノコホテルがアイドルシーンに進出しようとしているわけではなく、実際に蓋を開けてみればなるほど、あくまでもキノコホテルという立ち位置は全くブレず、その上での新味という感じ。昭和 GS 歌謡テイストは今まで通り貫きつつ、随分と音の分離が良くなったと言うか、各パートがすっきりとブラッシュアップされた感触で、良くも悪くも演奏面のアクが抜けたぶんメロディのコテコテな哀愁が際立つという作り。その上でストリングスを派手に導入し、70年代ディスコ/ファンクを直球で取り入れたリード曲「ヌード」はコラボレーションの最たる成果かと思います。ただその一方、後半には「華麗なる追撃」や「茸大迷宮ノ悪夢」のような毒っぽいニューウェーブ・パンクもあるなど、従来のキノコホテルらしさは健在、と言うか全体的には従来の魅力の方がずっと優勢に見える。結果的にバンド本来の枠組みがいかに定まり切っているか、もしくはマリアンヌ東雲の我がいかに強いか、の証明のような。

Rating: 6.6/10



キノコホテル「ヌード」MVショート・バージョン(アルバム「マリアンヌの奥儀」より)