KREVA 「AFTERMIXTAPE」

2年7ヶ月ぶりとなる8作目。


本人の言説によると、アルバム表題はコーヒーの製法とミックステープを掛けた造語とのことで、詰まるところ全体の統一感よりも一曲一曲の練り込みを重視した内容、という解釈で良いのかしら。確かにビートの種類は多岐に渡っています。軽妙な4つ打ちの「敵がいない国」に始まり、生音の質感で艶やかさと熱さを兼ね備えた「One」、グライム風の洗練された疾走感を見せる「S.O.S.が出る前に」と、ヒップホップの枠内で思いつくところは片っ端から浚っていくくらいの勢い。ただ各曲がそこまで深い味が出るほど焙煎されているかと言うとそうでもなく、むしろざっくりした音作りや12曲32分というボリューム的にも、ある意味ミックステープ然とした「軽い」という印象の方が先に来る。この軽さがアルバムのコンセプトに則しての、彼の意図するところなのかは正直わからない。ただかつての作品、例えば自分は「心臓」や「GO」が彼の中では一番好きな作品なのですが、その頃の力の入り具合と比べるとどうも変に落ち着いてると言うか、テンションが緩まってるような気がしてしまう。そのためビートの多彩さとは裏腹に、全体的にのっぺりした印象を受けました。

Rating: 6.2/10



KREVA 「敵がいない国」(Music Video Short ver.)