Girl Band 「The Talkies」
The Talkies [解説・歌詞対訳 / 国内仕様輸入盤CD] (RT0065CDJP)
- アーティスト: Girl Band,ガール・バンド
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / ROUGH TRADE
- 発売日: 2019/09/27
- メディア: CD
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基本路線がポストパンク、あるいはノイズロックというアヴァンギャルドな路線なのは前からでしたが、過去作は肉体的なカタルシスへと向かうための筋道の辿り方がまだ真っ当であったように、今となっては思います。それくらい今作は輪をかけて無軌道。その所以として明らかにメンバーの心身が失調状態にあるのが表現のあちこちから伺えます。自分が読み取れた箇所を列挙していくと、冒頭「Prolix」の荒い呼吸(ガチの発作らしい)、「Going Norway」でたびたび表れる Apple, penny, table のフレーズ(精神科医が症状特定のために頻用するもの)、「Shoulderblades」で登場する架空の人物 Ed Mordake(解離性同一症の象徴?)、「Akineton」というそのままズバリな曲名(パーキンソン病治療薬)。それら病的なモチーフに加え、ヴォーカルはのた打ち回るようにしてヒステリックな叫びを繰り返し、演奏はジャンクな音の塊を反響させて無闇に神経を逆撫でる。自身の不安定な状態をまるで隠そうとせず、むしろ逆手にとって攻撃性へ転化しているかのような楽曲群。露悪的とも言える音の垂れ流しがギリギリの所でスリリングな快楽と結びつく、今年イチの怪盤です。
Rating: 8.2/10