Cocco 「スターシャンク」

約3年ぶりとなる10作目。


聴いていて最初に感じたのは意外にも「安心感」でした。それは単純に中心のメロディのせいだと思います。彼女のメロディセンスの根本はデビューの頃からほぼ変わっておらず、ヴァース・コーラス・ブリッジを丁寧に重ねていく曲構成も含めて、90年代 J-POP の最も熟した部分がそのまま現在に持ち越されているようでもあり、新譜であるにも拘らず不意に懐かしさを覚える。しかしながらそのメロディを飾り立てるアレンジは非常にヴァラエティ豊かで、これまでのキャリアの中で1、2を争うほどの多彩な内容となっています。特にアルバム後半の流れが強烈。仄暗く神秘的なエレクトロポップ「Ho-Ho-Ho」、そこから一気にキラキラアッパーに突き抜けるダンスチューン「願い叶えば」、淫靡なゴス性を(何故か)バリバリに発揮した曲名そのままの「極悪マーチ」、中島みゆきNirvana …ではなく Korn との邂逅となった「Come To Me」と、光から闇、端から端までの移行がダイナミックすぎてもはや笑いすら込み上げてくる。アルバム表題の「スター」がそれらの雑多なアイディアだとすれば、軸を意味する「シャンク」はちょうど先述のメロディ、ということかなと。

Rating: 7.7/10



Cocco 「願い叶えば」 Music Video