女王蜂 「BL」

BL

神戸出身の4人組による、9ヶ月ぶり7作目。

女王蜂はいつだって重たい。刺々しくラウドな演奏にごってりした味わいの歌謡メロディ、アヴちゃんのアンドロジナスな演劇的ヴォーカル、自身の内面に巣食う思いや経験を深く刻み付けた歌詞、そして新たな美のスタンダードを打ち立てんとするドギツいヴィジュアル。それら全ての面において彼女らは、現時点で持ち得るアイディアや力の限りを残さずに注ぎ込む、言わば過剰なまでのサービス精神を第一義としていました。その基本的な活動指針はもちろんこの新作でも引き継がれています。今作はサウンド的には、以前から積極的に導入されていたエレクトロニクスの比率がさらに増大し、もはや本来のロックバンドの枠組みはほとんど解体されていると言っても良い状態。彼女らのヒップホップ／ R&B 趣味が段階を経てダイレクトに表出してきたということでしょうが、表面的には洗練されても本質が薄まったような印象はなく、むしろ今この瞬間の自分自身を克明に刻み付けるドキュメンタリーのごとき切迫感が宿っているようで、ボリューム的には腹八分目ながらも信念の重さだけは変わっていません。クローザー「P R I D E」はそんな彼女らの改めての決意表明。

Rating: 7.6/10

女王蜂 『BL』Official MV