EOB 「Earth」

Earth

Earth

  • アーティスト:EOB
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: CD
Ed O'Brien (Radiohead) によるソロユニットの初フルレンス。


聴いていて時間が巻き戻ったような錯覚に陥りました。バンドサウンドとエレクトロニクスの融合という意味では Radiohead 本隊に通じる部分はあるにはありますが、IDM を主体とするあちらの前衛的、神経症的な音像とは異なり、醸し出すグルーヴはスクエアで端正、丸みを帯びたプロダクションは洗練された印象があり、何なら随分と健康的に聴こえる。そして中心にあるメロディは湿り気や憂いを含みつつ伸びやかで清涼感もある…これはブリットポップと呼んで良いのだろうか…少なくとも Radiohead と比較すると、英国産ロックの伝統をかなり真っ当な形で継承しているように思います。もし仮に、Radioheadブリットポップの範疇にギリギリ身を置いていた90年代、それ以降の舵取りをエレクトロニカやポストクラシカル方面に寄せ過ぎず、バランスを取りながら王道とオルタナティブの中庸を真っ直ぐ進んでいたら、実はこの作品に辿り着いていたのではという。あと「Banksters」が微妙に「Paranoid Android」を思わせる曲調だったりもして、色々と "あの頃" の味が滲み出ているのが微笑ましいと言うか何と言うか。仮想された平行世界の体現のような作品。

Rating: 6.1/10



EOB - Shangri-La