Boris 「NO」


9ヶ月ぶりとなる26作目。


異様な多作派、なおかつアルバムを出す毎に方向性をコロコロと変えてくるだけに、彼らにとっての本筋の魅力は何なのかというのは、ファンの間でも意見が大きく分かれるところでしょう。じゃあ自分はどうなのかと言われれば、やはり「Heavy Rocks」路線の野性的なロックンロールこそが一番の Boris らしさかなという風に捉えていて、そんな自分にとって今回のアルバムはドンズバにツボを突いてくれる快作でした。そもそも彼らはヘヴィメタルの括りで語られることが多いかと思いますが、実際にはメタルバンドらしい高度なテクニックをそこまで売りにしているわけではなく、むしろバタついた垢抜けない疾走感であったり、アンプを吹き飛ばさんばかりの極端なサウンドプロダクションにしても、パンク/ハードコア成分の方が印象としてはずっと強いのですね。今作ではその要素がとことんまで突き詰められており、ノイズテクスチャーを含有しつつギチギチに詰まったディストーションに加え、リズムはこれでもかとばかりに D-beat を多用。過剰なまでのハードコアマナーの活性化、その切迫感の中から仄かに漂う艶めかしい色気。シンプル故の濃密さというやつか。

Rating: 8.3/10



Boris "Anti-Gone" from New Album 『NO』