SEX VIRGIN KILLER「VAZINISM」

VAZINISM (ヴァジニズム)

VAZINISM (ヴァジニズム)

2006年結成の4人組による初フルレンス。


先日の「WE ARE X」のエントリ(こちら)でも述べましたが、X JAPAN が世にもたらした影響力は我々の想像以上に強く、ファンや後進のバンドマンはもちろん、メンバー自身の運命までをも大きく捻じ曲げた、本人達にも制御不能な怪物のようなものでした。その強烈な存在感は長い時間を経ても薄れることなく、今なお X によって人生を紅に染められてしまった悲しき運命共同体がここに。Atsuo(Boris)プロデュースによる生々しく土臭い音像は、ちょうどV系前史に当たる GASTUNK などの80年代ジャパメタに通じる意匠となっていますが、焦燥感に満ちたスピードに狂おしいメロディ、全編がクライマックスと言っても過言ではないドラマチックな曲調は完全に X のソレ。そしてヴォーカルがまた良い味出してるのだ。線が細く絶妙にピッチが不安定、その上でやたらとナルシスティックな色気を漂わせる、もうV系ならではとしか言いようのない歌声。特に「サヨナラ 幻の君へ」に至っては X 通り越して La'Mule じゃないかこれ。俺が中学とか高校の頃にこんな曲やってるインディーズバンドごろごろいたよ。色んな意味で聴いてて頭がおかしくなりそうだ。

Rating: 7.0/10



SEX VIRGIN KILLER - Virgin Killer

ENDON「THROUGH THE MIRROR」

THROUGH THE MIRROR (スルー・ザ・ミラー)

THROUGH THE MIRROR (スルー・ザ・ミラー)

2007年結成の5人組による、2年半ぶり2作目。


ギター×ドラムのみというシンプルな編成の楽器隊、そこに2人のノイズ・マニピュレーターが加わって惨劇のようなハーシュノイズを放射する、言わばジャパノイズ新世代の一派。しかし彼らは即興演奏ではなく、ハードコア/ブラックメタル/ポストロックの要素も多く盛り込み、脳髄と肉体を同時に震盪させる独自のエクストリーム・ミュージックを構成しています。今作はその中でもハードコア要素がより強調されており、猪突猛進なアグレッションにノイズのレイヤーが覆い被さった音像は、激しさと同時に奇妙な浮遊感、また得体の知れない化物が闇の向こう側で蠢いているような、薄気味の悪い不穏さも強く感じさせる。さらにはノイズの中に埋もれたギターフレーズに、もしかするとポストパンク由来だろうか、何処か淫靡で艶めかしい感触も見られるという、何とも複雑なテクスチャー。所謂ハイゲイン的な重さには敢えて寄らず、鼓膜にベタリと纏わりつくノイズならではの質感、音に詰まった情報量の密度を優先させ、実験性とキャッチーさをギリギリのバランスで両立させた作り。オリジナリティ溢れる手法で混沌の美しさを描き切った、極上の問題作です。

Rating: 9.0/10



ENDON "YOUR GHOST IS DEAD" (OFFICIAL VIDEO)