Kamaal Williams 「Wu Hen」

英国ロンドン出身のキーボーディストによる、2年2ヶ月ぶり2作目。


Kamaal Williams としての活動と並行して、かねてから Henry Wu という名義でダンスフロア向けのエレクトロニック作品をリリースし続けているだけに、最近のジャズアルバムの中でも今作は特に、クラブミュージック方面への意識が強く表れています。鮮やかなシンセリフと疾走感あるブレイクビーツが火花を散らす「One More Time」、タイトな4つ打ちの縦ノリグルーヴで熱気を膨れ上がらせる「Save Me」「Mr. Wu」辺りはまさに直球。エレクトロ要素を人力アンサンブルに落とし込むことで新たなスタイルの開拓を目指す、という意味では Tom Misch や Moses Boyd など他の気鋭アクトと繋がる部分も多く、英国のジャズシーンがどのような盛り上がりを見せているかがうっすらと感じ取れる気もする。またそれに加えて、彼の場合はアルバム全体のスピーディーな流れを重視しており、曲同士をシームレスに連結しながら巧みにリズムパターンを切り替えるという DJ 的手法も目立ちます。一定の場所に落ち着くことを良しとせず、常に流動する、変化を繰り返すというある種のラディカルな姿勢がそこかしこにくっきりと。優美かつ刺激的な一枚。

Rating: 7.7/10



Kamaal Williams - Mr Wu (Official Audio)