MOUSE ON THE KEYS 「an anxious object」

an anxious object

an anxious object

元 NINE DAYS WONDER のメンバーを擁する4人組の初フルレンス。初めて聴きました。


メンバー4人中2人がピアノ担当という異色の編成で、もちろん楽曲はピアノが主役。確かなテクニックに裏打ちされたジャズピアノの音色は靡くような流麗さを見せ、曲によってはサックスやシンセ、エレクトロニカ的音響性もスパイスとしてアンサンブルに調和し、都会的でスタイリッシュなムードの中に浸らせ、酔わせる。しかしながらそれらの土台を支えるドラムは荒々しく忙しないプレイでパワフルな躍動感を楽曲に与えており、単なるオサレな雰囲気モノには陥らない内なる熱さを確実に感じさせます。ロック的なエッセンスを注入しつつジャズであることの矜持を崩さない絶妙なバランスは Sleep Walker に通ずるものがあるかも。あとエンジニアを toe のメンバーが担当してるとのことで、 toe 同様音が凄く良い。深く生々しい音の鳴りがその場の緊張感をリアルに伝え、楽曲の魅力をさらに引き立てることに貢献してます。焦燥的な疾走感を見せる 「Spectre de mouse」 、音の隙間に潜む空気にひどく惹きつけられる 「Dirty Realism」 など、テンションの高さとクールネスが激しくせめぎ合うニュータイプジャズ。聴けば聴くほど味の出そうな傑作です。


Rating: 8.2/10
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