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downy 「無題 (1st)」 「無題 (2nd)」

downy 第一作品集『無題』再発

downy 第一作品集『無題』再発

2001年にリリースされた、初フルレンスのリマスター再発盤。


結成して僅か1年でこのアルバムが完成したという事実に当時は驚かされたものですが、今になって聴くとデビュー作ということで初期衝動的というか、荒削りな部分が多く見られるのが特徴でしょうか。ポストロックやシューゲイザーといった轟音要素であったり、 Radiohead を彷彿とさせるインテリジェンスも感じられますが、90年代初頭〜中頃の Fugazi など US ポストハードコアからの影響が一番強いように感じます。刺々しい各パートの音作りが融合ではなく拮抗しているアンサンブル。不穏なギターサウンドが正しく無頼一閃とばかりに斬り込む 「酩酊フリーク」 、荒涼とした雰囲気の中でエモーションが破裂する 「左の種」 、オブスキュアな美しさに思わず背筋がゾクゾクする 「猿の手柄」 など、彼らのコアな部分を示す楽曲群は現在のライブでも重要な位置を占めています。アルバム後半に入るとちょっと冗長な部分も出てくるのですが、他とは違う表現を試みようという気概はひしひしと伝わってくる。あとボートラの 「月宿る善良」 と 「安心」 のスタジオテイクは初めて聴いたんですが、本編を遥かに上回るノイジーな暴力性。やはりこのバンドの根っこはハードコアなのだなと。

Rating: 8.3/10




第ニ作品集『無題』再発

第ニ作品集『無題』再発

2002年にリリースされた2作目のリマスター再発盤。


前作が結成から1年、そして今作がそれから1年。この頃の彼らの活動はちょっと密度が濃すぎやしないかと。前作でやや荒削りだと感じていた部分が今作ではほとんど解消されており、飛躍的な進化を遂げています。彼らのバックボーンに在る様々な実験的/前衛的サウンドがひとつに結ばれ、そこに日本人らしい侘び寂びのエッセンスを注入。ギターサウンドはより空間的な広がりを持ち、多彩な音色を駆使して表現する世界観に更なる深みが生まれました。同時にリズム隊はハードコア由来のアグレッシブな硬さを発揮し、サウンド全体に力強いダイナミズムを与えています。夜、月、雨といったタームが想起させるように、一貫してモノクロームの冷たい情景を描き続ける彼らですが、白と黒だけでこれ程にも鮮やかな表現になるのかという、言わば水墨画のような音。前半 「葵」 「黒い雨」 などではエモーショナルな衝動が途方もない哀しみを纏って響き、後半 「三月」 「無空」 ではミニマルなパターンの反復が聴き手を寄る辺なく茫洋とした心地にさせる。正しく彼らの本領が発揮された、圧倒的な説得力に満ちた名盤です。

Rating: 10.0/10