A9「IDEAL」
- アーティスト: A9
- 出版社/メーカー: NINE HEADS RECORDS
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: CD
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ヴィジュアル系とは一体どんな音楽か。2017年になって改めてその定義を問うとするなら、それは A9 になるのではないかなという。色々あって昨年に2度目の改名を余儀なくされた彼ら。ここが再スタートラインということで、奇を衒ったり無理に背伸びすることをせず、彼らにとっての王道を突き詰めた内容になっています。メタル由来のヘヴィネスも積極的に取り入れつつ、痛快な疾走感とキャッチーな J-POP メロディをキッチリ押さえた、これぞ V-ROCK と言うべき正統派な内容。「造花の代償」でジャジーなスウィングをやってみたり、「UNDEAD PARTY」で EDM を突っ込んでみたり、「ECHO」や「輪廻と一夜の物語」といった清らかなバラードで緩急を付けたりと、この辺の横道への逸れ方も V-ROCK のセオリーに忠実に則った感があり、非常に手堅い。昨年の VJS で彼らのライブを見た時は、ギターを務めるヒロト氏のヴィジュアル系に対する真っすぐな愛情、熱血とも言える MC が印象に残っているのですが、今作ではそんな彼らの信念がはっきり表れているのではないでしょうか。良い意味での破綻や驚きはないけれど、正しくジャンルの良心。
Rating: 7.0/10
Base Ball Bear「光源」
- アーティスト: Base Ball Bear,小出祐介
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: CD
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メジャーデビュー10周年と、ギター湯浅将平の突然の脱退。バンドにとって良くも悪くも大きなターニングポイントとなった2016年を経て、ここでの彼らはデビュー時と同じフラットな目線に回帰したのかなと思います。音楽的には前作「C2」でも見せていたファンクやシティポップ的な意匠を継続し、キレの良いギターカッティング、横ノリを誘発するビートがアーバンで洒脱な印象を与える。しかし歌詞の面においては、周囲の音楽シーンに対して批判的な目線を向けていた「C2」とは異なり、彼らの真骨頂と言える「青春」というテーマに改めて対峙した、淡く切ない情景を想起させるフレッシュな楽曲が揃っています。リード曲「すべては君のせいで」は細かいディテールで揺れる心の機微を描いた、まるでメロドラマのワンシーンのような楽曲だし、それは「(LIKE A) TRANSFER GIRL」や「SHINE」などにしても同様。音楽性が同じ路線でも、そこに乗る歌詞が違うだけでこうも印象が変わるものかとばかりに、鳴らす音すべてがやたらと瑞々しく、カラフルな目映さを放っています。憧れも痛みも内包した、繊細かつ軽やかな筆致。この青さが彼らの根源ということ。
Rating: 7.9/10