Gorillaz「Humanz」

HUMANZ

HUMANZ

約6年ぶりとなる5作目。


Damon Albarn はこの新作について「あからさまに政治的な内容ではないが、現代の政治に対するひとつの答えだ」と述べているそう。ヒップホップや R&B 方面を中心とした大勢のゲストが集結し、楽曲毎に入れ代わり立ち代わりでマイクリレーを繋いでいく、さながら Damon 主催のヴァーチャル・フェスティバルといった様相の今作。性急な4つ打ちからメロウで憂鬱なナンバーまで、すっかりエレクトロに振り切れたトラック群はローラーコースターのごとくシームレスに突き進んでいく。その展開の目まぐるしさはこれまでで最も派手なインパクトがありますが、それが何故だか豪華絢爛なエンターテインメントといったイメージには結びつかないのですね。全体的にザックリした大味な音作りだったり、陰鬱としたムードがそこかしこで顔を出してくるせいか、ともすればカオティックとも言えるような、猥雑で不穏な印象ばかりが残る。昨年はトランプ当選やら EU 離脱やらで世界中が急速に混沌へと向かい始めた年でしたが、この作品の妙に躁病めいたムードはそんな世相をダイレクトに反映した警鐘なのかも。いま世界はこんなにも捻れた狂騒に満ちているのだと。

Rating: 7.4/10



Gorillaz - Saturnz Barz (Spirit House)

VAMPS「UNDERWORLD」

UNDERWORLD(初回限定盤A)(Blu-ray付)

UNDERWORLD(初回限定盤A)(Blu-ray付)

2年半ぶりとなる4作目。


Rammstein のメンバーがゲスト参加しているのも象徴的ですが、今回一気にインダストリアル・メタルへと舵を切り、以前の荒くれた疾走感のロックンロールよりもミドルテンポの重厚な楽曲がメインを占めています。聴いていて一番印象的なのはドラム。スクエアでかっちりとしたグルーヴ感、一打一打の芯の太さが楽曲全体をタイトに纏め上げ、躍動感を強めると同時にスケールの大きさ、ヘヴィな印象を助長してるように感じます。言わば Ministry や Nine Inch Nails の持つ機械的アグレッションに、Linkin ParkEvanescence 辺りのエモーショナルなポップ感が注入されたような感覚。ラルクに通じる耽美的な色付けは Apocalyptica 参加の「SIN IN JUSTICE」くらいで、他はほぼ全編メタル路線に特化。歌詞が英語で統一されているのもあってドメスティックな湿り気はなく、海外含めたライブへの意識、あくまで VAMPS としての前傾姿勢を強めています。ただそれでもヴォーカルのスタイルからは確かに HYDE らしさが感じられるし、OBLIVION DUST 時代からこの手の音で鳴らしてきた K.A.Z の個性も十分に掴み取れる。実は今作が一番 VAMPS らしいと言える作品かも。

Rating: 7.7/10



VAMPS - CALLING