Ty Segall 「Freedom's Goblin」
- アーティスト: TY SEGALL
- 出版社/メーカー: DRAG CITY
- 発売日: 2018/01/26
- メディア: CD
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デビュー以来1年以上のスパンを開けることなく、時には名義を変えながら1年で3枚のアルバムをリリースするなど、異様なほどの多作家であるところの彼。その中で確立してきた音楽性の基盤と作品毎の微妙な変遷が、今回の2枚組17曲の中ではギッチリと統合され、この上なく豊潤なロックサウンドが展開されています。オープナー「Fanny Dog」を再生した瞬間から飛び込んでくるアンサンブルの力強さといったら、もはや祝祭のようですらある。かつて T.Rex のカヴァーアルバムを発表していることからも伺える Marc Bolan の色濃い影響が、まるで臆することなく全開で、なおかつ一層荒々しさを注入して、聴き手に発破をかけるようにして鳴り響く。その後も絶え間なく続く、ふくよかな厚みと刺々しさで迫るガレージロック、暖かくも艶めかしいメロディ、そして楽曲毎に詰め込まれた様々なアイディア。ここにはグラムがあり、パンクがあり、牧歌的なフォーク/カントリーがあり、アングラなサイケ感があり…ともかく彼が深い愛着を持って接してきたであろう様々な形のロックミュージックが混ぜ合わされ、実に濃厚な旨味を引き出しています。野心的な集大成。
Rating: 8.4/10
Migos 「Culture II」
- アーティスト: Migos
- 出版社/メーカー: Quality Control
- 発売日: 2018/01/26
- メディア: CD
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全24曲110分。長えわ!前作「Culture」の時点で彼らの持つ魅力、特徴は十分にアピールされていたと思いますが、今作はその倍の質量が詰め込まれ、そのいずれもが Migos ならではと言えるクールなラップチューンで占められています。シンプルかつダークなトラップビート、そこに乗るラップのフロウのアプローチや、執拗に繰り返される合いの手コーラスであったり、何処を取っても代表曲「Bad and Boujee」や「T-shirt」などですでに確立されている Migos 節の延長線上。さらに客演は誰も彼もが全米で大ヒットを飛ばしているスターばかり。彼らこそが正しくアルバム表題通りに現代ポップカルチャーの中心地であり、自分達はそこまで登り詰めたという尊大なまでの自信の表れというわけです。ただまあ歌詞はセックス、ドラッグ、物欲、セルフボーストに終始するというアングラマナーの忠実な踏襲だし、全体のボリューム的にはインパクトはあるけどもそこまで目新しさはなく、むしろほぼ一辺倒の曲調が続きすぎて間延びしている感がある。アルバムとしてのトータリティにさほど気を配っているわけではない、という点もある意味非常に現代的なものでしょうか。
Rating: 6.0/10