DÉ DÉ MOUSE 「be yourself」

be yourself

be yourself

群馬出身、遠藤大介によるソロユニットの1年4ヶ月ぶり7作目。


ここに来て新たな突き抜けっぷり。ヴォーカルカットアップとアタックの強いエレクトロ・ブレイクビーツという核の部分はこれまでと同じなのですが、かつてのエキゾチックで幻想的なムードからは脱却し、EDM やダブステップ、トラップにフューチャーベース、あるいはファンクを基調とした現行のメインストリームを占めるダンスポップへと肉薄。それらと何処となくチップチューンを思わせるあどけないデデ節が重なり、ちょうどジャケットのイメージそのままのフレッシュな爽快感に満ち溢れた直球ダンストラックばかりが揃った、ある種潔く的の絞られた内容となっています。バウンシーなコシの強さが表れた表題曲「be yourself」や「charmed」などは Bruno Mars のデデ流解釈というように受け取れるし、「love destination」を筆頭にハウスのフィーリングも随所で大きく活かされ、80年代/90年代/10年代と様々な時代のクラブサウンドが大胆かつ自然に繋がれた様は壮観ですらある。縦ノリの享楽的な機能性を高めながら、彼が元来持ち合わせていたポップネスをさらにオープンな形に洗練させることに成功した好盤です。

Rating: 7.9/10



DÉ DÉ MOUSE / be yourself Music Video (CAST : Rinne Yoshida)

上坂すみれ 「ノーフューチャーバカンス」

2年7ヶ月ぶりとなる3作目。


今年の頭にネット上の話題を掻っ攫ったクソアニメ「ポプテピピック」主題歌を担当したり、今もなおカルトアイドル最右翼として強烈な存在感を放ち続けている彼女。前作「20世紀の逆襲」はあまりにも情報量を詰め込み過ぎ、散漫過ぎて正直ついていけなかったのですが、今回はテクノ要素を主とした楽曲が多数を占め、全体的に曲調の統制が取られて入り込みやすくなっていると思います。冒頭を飾る前述の「POP TEAM EPIC」は押しの強いエレクトロトラックと伸びやかなメロディが綺麗に噛み合った秀曲だし、他にはジャケットにも表れているアジアン異国情緒が彼女のイメージと抜群の相性を見せる「リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)」や、松永天馬のらしさ全開な歌詞とジャズ風味 90's アイドルポップを足したらアーバンギャルドそのままになった「平成生まれ」など、程良い幅の拡張で上坂すみれというキャラクターを中心とした世界観がより強固なものとなっています。その一方で「よっぱらっぴ☆」「ヤバい○○」「文豪でGO!」など悪ノリに拍車の掛かった怪曲も多数あり、どんなネタが相手でもフルスイングで対応する彼女の胆力には恐れ入るばかり。

Rating: 7.4/10



上坂すみれ「ノーフューチャーバカンス」MUSIC VIDEO(Short ver.)