SHAZNA 「GOLD SUN AND SILVER MOON」

GOLD SUN AND SILVER MOON

GOLD SUN AND SILVER MOON

1993年結成の3人組による、初のフルアルバム。


つい先日も過去の映像がテレビで放送されて Twitter でトレンド入りするなど根強い人気を誇る彼ら。その楽曲を深く理解するための鍵は果たして何処だろうか。それはきっと IZAM が影響を公言する Culture Club を筆頭とする、80年代ニューウェーブ以降のポップシーン(の特に耽美的かつ刹那的な類)にあるはず。彼らの楽曲は基本的に、線の細いヴォーカルや演奏が自然と浮遊感を醸し出し、メロディは意外にゴテゴテした感がない上品なもの。それを主軸としつつアレンジは多岐に渡り、ドギツいダンスビートで攻める「Magenta Story」は Dead or Alive 直系と言えるだろうし、洒脱で陰影の深い「Secret Love」はさながら The Blue Nile 、また「Refrain of Dreams」での幻惑的なギターが織り成す美しさは Cocteau Twins などネオサイケへの憧憬。そもそも「Melty Love」にしたって、モータウン風の伝統的なロック感を敢えて持ってくるというセンスが完全に Culture Club のソレ。90年代 V-ROCK の潮流と自らのルーツを何処まで折衷できるかという挑戦の痕跡が多くあり、これは時代が生んだ「徒花」ではなく、時代に寄り添ったヒットメイカーの「良心」なのではと。

Rating: 7.4/10



SHAZNA — Melty Love PV [HD 1080p]

Efterklang 「Altid Sammen」

Altid Sammen [輸入盤CD] (4AD0172CD)

Altid Sammen [輸入盤CD] (4AD0172CD)

コペンハーゲン出身の3人組による、7年ぶり5作目。


過去最長のインターバルが空いての今作。その間に彼らは課外プロジェクトを立ち上げたり、クラシック/オペラ界隈のミュージシャンとコラボレートしたりと、様々な試行錯誤を経ながら次のアルバムの方向性を模索していたようです。その末に完成した今作は様々な面において野心的。歌詞は全曲がこれまでの英語ではなく母国のデンマーク語となり、サウンド的には音数や抑揚がこれまでよりも圧倒的に抑えられ、全編に静けさがピンと張りつめた作りとなっています。正直最初はかなり取っつきにくく感じる。しかし細部によくよく注意を払いながら聴くと、エレクトロニカ、ポストロック、ポストクラシカル、また環境音楽といったジャンルの要素が溶け合い、隙間の多い空間の中に様々なテクスチャーがしなやかに折り重なっているのが分かります。その余白を重んじる極めてイマジナティブで味わい深い音像と、日本語訳すれば「私たちは永遠だ」「世界が消失する」といったある種の死生観を思わせるタイトル群も相まって、音世界の奥行きはそれこそ宇宙的と言えるほどに果てしない深遠を見せる。頭が真っ白に洗われるスピリチュアル・バラード集。

Rating: 7.3/10



Efterklang - Vi er uendelig (official video)